Betrayer-ビトレイヤー-~嘘に包まれた気高き彼女~
ロッカーに入っているのは、多分だけど掃除用具。
そして、ドアは……
きっと屋上へと続いているはず。
次第にそれへと近づくにつれ、心臓が大きく高鳴っていく。
だって、もしさっきの女たちが言っていたことが本当なら……
―『私たち全員、さっき屋上で黒間くんとその彼女、見てきたもの……!』
あのドアの向こうに、亮と……そして、彼女がいるはずだから。
亮は、言うまでもなく極上の美男子だ。
長めの前髪から覗いていた、力強くも澄んでいた、今朝のあの瞳……
2年前から、何一つ変わってはいない。
亮に群がる女子は、当然たくさんいる。
私が彼の前からいなくなって2年、新しい恋人という存在が、できないほうが不自然なのだ。
だけど……