Betrayer-ビトレイヤー-~嘘に包まれた気高き彼女~
最後の一段を、のぼり終えた。
ゆっくりと、ドアノブに手をかける。
そして……
―キイイイイイィィィ……
意外にも錆びれた音を立てて、それは開いたのだった。
「……っ」
来なければよかったと……私は瞬時に後悔した。
ドアを開けて、真っ先に自分の視界へと入ってきたのは……
首に、腰に……互いに手を回し、深く唇を交わすふたりの男女だった。
「亮……」
私のつぶやきが、数メートル先の男子生徒に届くことはない。