Betrayer-ビトレイヤー-~嘘に包まれた気高き彼女~
クルリと、ふたりに背を向ける。
あまりの引き際のよさに、特に千鶴は驚いているかもしれない。
もう……黒間亮は私だけのものじゃない。
それなら、自分にできることはひとつだけ。
最後に顔だけを振り返る。
「まっすぐで……いい彼女を見つけたね、亮」
すぐに顔を前へと向けた。
危なかった……。
頬を伝った一筋の涙……
それが、絶対に背後のふたりへとバレないように……私は屋上をあとにした。