Betrayer-ビトレイヤー-~嘘に包まれた気高き彼女~
「お、おい……黒間!?」
すぐそばにあった机をどかし、亮がズカズカとこっちに歩み寄って来る。
そして……
―ダン!!!!
私は肩を押され、一瞬にして黒板を背に叩きつけられた。
右には亮の肘、左には固く握られた拳があって逃げられるような状況じゃない。
……逃げるつもりなんてないけど。
数センチ先には、これ以上ない、綺麗な顔がそこにはあった。
ただ、その顔には怒りの色が浮かんでいるけど……。
「亮、一段とかっこよくなったね?」
「ふざけんな……」
「……」
亮が、こんなに怒っているのは当たり前。なぜなら……
私は彼と、彼が率いる『昇龍』という組織を、過去に裏切っているから……。