Betrayer-ビトレイヤー-~嘘に包まれた気高き彼女~
まっすぐな瞳・・・
それなのに、その奥は不安定に揺れている・・・。
「昔の彼女がいきなり目の前に現れて、心が揺らいでるんじゃないの・・・?」
自分のカッターシャツをつかむ千鶴の手が、ギュッと強くなる。
かすかだが爪が皮膚に食い込んだ。
「なに言って・・・」
言葉は最後までつむがれない。
シャツを引っ張られ、彼女の唇がオレのへと重なる。
余裕のない、千鶴らしくないキス・・・
「千鶴・・・」
ゆっくりと離れていく彼女にそっとささやく。
こぼれんばかりに涙を溜めた瞳と目が合った。