Betrayer-ビトレイヤー-~嘘に包まれた気高き彼女~
いきなりの展開に騒然とした視線を向けられる中、亮が口を開く。
「なんで今更……オレの前に現れる?」
もう、あの頃のように……優しい眼差しが自分に向けられることはない。
「なんでって……亮に会いたかったからだよ?」
ゆっくりと、亮の顔に手のひらを添える。
だが、すぐに……
「まじめに答えろ……」
私の手は、亮の手に捕まってしまった。
あの頃と変わらず、亮の手は冷たい……。
懐かしい、細くて長い……綺麗な指……。
この手で、指で……あなたは私を抱いた。
その口で……私に何度もキスをした。
「私、覚えてるよ?亮があのとき、どんなふうに私にキスしたか……」
「は……?」
いきなりの私の言葉に、亮の目が驚いたように見開かれる。