Betrayer-ビトレイヤー-~嘘に包まれた気高き彼女~
亮の手をふりほどき、今度は私の手をそれに重ねる。
「亮のこと……一度たりとも、忘れたことはなかったよ」
「……っ」
バッと、勢いよく亮の体が私から離れる。
「オレはもう……お前なんか好きじゃない……」
最後にそんな言葉を残して……
「おい、黒間……!」
亮はホームルームの最中だというのに、教室から出て行ってしまった。
切なげにその背中を見ていた、私の視線には一切気づかずに……。
『助けて……助けて、明日菜……』
暗闇の中で、誰かが私の名前を呼ぶ。
『明日菜、お前が悪いんだぞ。お前が、素直にオレのものにならないから』
『明日菜……っ、明日菜、助けて!いやあああああああああああああ』
―ガバっ!!!!