Betrayer-ビトレイヤー-~嘘に包まれた気高き彼女~
私はハッとして、机から顔を上げた。
尋常じゃない汗……
私は額をぬぐう。
また、あの夢か……
見慣れない教室の景色に、頭がクラクラする。
数十秒後、やっとのことで、自分が今朝ここへ転校してきたばかりだということを思い出した。
初っ端の授業から、どうやら私は図々しくも眠っていたらしい。
前の方を見てみると担任の先生はいなくて、代わりに数学担当の知らない女の先生がいる。
チラッと窓際の、隣の席を見てみる。
亮は……戻ってきていない。
私は担任に頼んで、席を亮の隣にしてもらった。
まあ、こうなってしまったら……亮は席替えが行われるまで、一生教室に戻ってこない可能性があるけど。
そんなことを考えているうちに、1時間目の授業は終わりを告げた。
「じゃあ、今日はここまでね。……久邪美さん」
いきなり、数学の女先生が私の名前を呼ぶ。