*僕らの軌跡*
「…………じゃぁ 飯島くんは 豊橋さんの隣の席ね」
その 超がつくほどの人気俳優は にっこり笑って
隣の座席に 座って「よろしくね 豊橋さん」と言った
きっと この笑顔は みんなにみせるだけの 偽物なんだろう
「聖菜~~ 無視は 良くないよ~ あいさつぐらいはしときなよ、 ね?」
クラスの女の子たちが 言うので 仕方なくこう言った
「私 あんたみたいの 嫌い。
みんなの前では にこにこして 本当は その笑顔だって 偽物なんでしょ」
教室が 静まり返った
「そうだね。そう 思われてもしょうがないよね
芸能人ってさ 嫌われちゃうんだよね
きっと 実際に 会ったり 話したり できないからなんだろうね
その人のこと 深く知ることができないから」
「……………」
「だけど 僕は みんなにはそんなふうに 嫌われたくない」
「……………」
「せっかく 広い世界の中で 出会うことができたんだ
だから 僕のことを ちゃんとみんなに知ってもらいたい」
そして 笑顔でこういった
「僕は みんなに出会えてよかったと思ってる
みんなにも そんなふうに 思ってもらえるように がんばります」
なぜか みんなが 拍手しはじめた
くだらない………