最低なキス。
「葵さぁ…まだ続けてるの?桐崎先輩と…」
呆れた顔をしながら聞いてくるのは、私の親友である月森美香ちゃん。
「…まあね。」
「やめたほうがいいって!アンタが好きでも、先輩はアンタのこと好きになってくれないのよ!?」
必死に言ってくる美香ちゃん。
私のこと心配してくれてるのはよく分かる。
だけど、この件だけは私のことを放っておいてほしい。
「…別にいいの。先輩の側に居れればいいもん!」
「はぁ…でもさ、酷いわよね。その先輩も!好きじゃない子と普通にキスするなんて!しかも、高島先輩の親友だなんて!!」
高島先輩とは、美香ちゃんの好きな人。
私の好きな桐崎先輩の親友らしい。
「桐崎先輩って顔はいいけど、性格はサイテーなんだね」
美香ちゃんは桐崎先輩の悪口をたくさん言ってきた。
私は我慢できず、怒鳴ってしまった。
「先輩のこと悪く言わないでッ!!せ、先輩は…っ…サイテーじゃないぃ…うぅっ…」
「ちょっ、泣かないでよ!!アタシも言いすぎたよ!ごめんって!!」
美香ちゃんは焦りながらもハンカチで私の涙を拭いてくれる。
いつも私はその優しさに甘えてしまう。
「まぁ…葵が平気ならいいんだけどね。何か変なこと言われたら、教えてね?親友なんだから、隠し事なしだよ?」
「うん…ありがと」