ブラコンVSシスコン




「……大丈夫か?」



さっきより、全然優しい声でそう聞いてくる遼にトクンと心臓が飛び跳ねた。



「紅茶、飲めた? それ、美紅の分だけど、飲めなかったらオレ、飲むから……」



そう言われて目線を斜め前に移すと、白い湯気が立った紅茶がカップに入っていた。


もしかして、わたしがトイレに行ってる間に入れてきてくれたの?


そんな紳士的なこと、できるんだ、遼は……。


意外な一面。


でも、そんなことより、少しは女として見てくれてるのかなって思えるのがうれしくなる。



「……ありがとう」



そっとカップを口に近づけるとアップルのいい匂いが鼻を掠める。



「あ、アップルティーだ」



思わずそう口に出てしまってキュッと口を閉じた。







< 129 / 270 >

この作品をシェア

pagetop