ブラコンVSシスコン




「さつき、知らない?」



遼の荒い呼吸と声を聞いて、わたしは知らないなんて言えるわけがなく……。



「……いるよ」


「え?」


「うちにいる」



そうわたしが言うなり、さつきが目を見開く。


そして、伸ばしてきた手を制しながら遼に伝えた。



「でも、さつきは返さない!」


「え?」



何で自分がこんなことを言ったのか分からない。


でも、遼には安心させたかった。


ちゃんとさつきはここにいるってこと。


さつきにも……ちゃんと考えて欲しかった。



このままじゃいけないことなんて、きっとさつきが一番よく分かってると思うから……。







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