天の川のほとりで
 誉められてドキッとし、咄嗟に咳払いをして誤魔化す。

 ぽけーっと空を仰ぐ颯には気付かれてはいないのが救い。



「僕も確認書類あったんだ。やっべー」



「あ、そういえば、昨日現場のパートさんに訂正貰わなきゃいけない書類もありましたね」



「そうだった。あー仕事遅いってまた言われるよ。ごめん、先行く」



 ポンっと肩を叩かれ、颯はコンビニ弁当を振り回しながら駆け出した。

 あっ……と思ったのも束の間、視界から颯の姿は綺麗に切り取られていた。


(せっかく会えたのに、逆に一緒に居られなくしちゃった……)


 溜め息を吐くと、社員玄関へと早歩きで歩を進める。

 颯のいない空間に、別の誰かが稀に来るからだ。

 それが同じ部署の先輩や仲良くしている同期ならまだいいのだ。
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