天の川のほとりで

「七海ちゃん」



 少し熱っぽい、溜め息混じりの声。

 ぱたぱた駆け寄ってくる音は、七海の背筋を舐めてくるようで寒気がする。

 聞こえないフリをしたいが声が何処までも響いていて、その歩を緩めるしかない。



「おはようございます……」



 振り返ると、ニコニコしてそこにいる男性。



「また颯のストーカーしてたの?」



「してません」



 ニマニマして七海に寄り添うのは、颯と同期の矢吹通(やぶきとおり)。

 七海が颯に憧れを抱いていることを知っている矢吹は、颯に会えなかったりする時にちょっかいをかけてくる6つ上の先輩。


(矢吹さんだって、あたしのストーカーみたいなものじゃんか!)
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