届かぬ声を、君に。




「舞香! おめでとう」



愛衣が私の肩をぽん、と叩いてそう言った。




「ありがと、愛衣」



樹里ちゃんは、ソロに選ばれなかったけど、いつもと同じ穏やかな表情をしている。



でも、他のクラリネット一年の二人は私に軽蔑の眼差しを向けていた。


「舞香がソロとか、おかしいでしょ」


「樹里ちゃんがなると思ってたのに」



そんな話が耳に入ってくる。





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