届かぬ声を、君に。




あの屋上の日から、三日が経った。


あれから、響也は私を家まで送ってくれた。


響也はあの日、先生に呼ばれて放課後まで残っていたらしい。


先生に呼ばれたのは、この前公園で響也がいじめられていたことについていろいろ聞かれたんだって。



「舞香......、大丈夫?」


「うん」



あの日から、私はずっと悩んでいる。



悩みというのはもちろん、ソロをやるか、やらないか。


この事で、優花にも心配をかけてしまった。



ソロを辞退するなら、もう吹奏楽部もやめる。


でも、響也に言われた一言が脳裏に焼き付いているから。



"大丈夫。お前ならやれるよ。自信持て"



音にならない、響也の励ましの言葉。



< 44 / 125 >

この作品をシェア

pagetop