届かぬ声を、君に。



ガチャ、と音をたてて屋上の扉が開く。


「響也」



私は、驚いた。


だって、そこには響也がいたから。



ベンチに座って、暗い夜空を見ている。




「響也!」



私が大きな声でそう言っても、当然ながら響也が振り向くことはなく。



私がちょんちょんと肩をつつくと響也がばっと振り返った。



『ああ、舞香か』



響也は私をとなりに座らせると、また夜空に浮かぶ星を見つめていた。









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