届かぬ声を、君に。
顔から火が出るって、こういうことなんだと思う。
今この場に響也がいる訳じゃないのに、無性に恥ずかしくなった。
お母さんは、あっと声を上げて続けた。
「あの子、美桜と同じで耳が聞こえないのね。すごく手話が上手だったわ」
お母さん、響也の耳が聞こえないことに気づいたんだ......。
「すごく優しい子ね」
なんだかわからないけど、嬉しかった。
響也の優しさを理解してもらえたみたいで。