届かぬ声を、君に。



顔から火が出るって、こういうことなんだと思う。



今この場に響也がいる訳じゃないのに、無性に恥ずかしくなった。



お母さんは、あっと声を上げて続けた。



「あの子、美桜と同じで耳が聞こえないのね。すごく手話が上手だったわ」



お母さん、響也の耳が聞こえないことに気づいたんだ......。




「すごく優しい子ね」




なんだかわからないけど、嬉しかった。



響也の優しさを理解してもらえたみたいで。




< 59 / 125 >

この作品をシェア

pagetop