届かぬ声を、君に。
「そうなの。響也は、すごく優しくて、温かい人だよ」
私は、ダイニングテーブルに座ると話を始めた。
「私がソロのことで百合花と真優にいろいろ言われたときも、響也が励ましてくれたんだよ」
お母さんは、私の話を聞きながら優しく頷いてくれた。
「私がソロをやろうって思えたのも、響也のおかげ。
"大丈夫。お前ならやれるよ。自信持て"って言ってくれたの」
「そう.........」
お母さんは、微笑みながらそう呟いた。
「舞香は、彼のことが好きなんでしょ?」
私の気持ちを、一発で当てたお母さん。
否定するにもできなくて、私は小さく頷いた。
「それでね。定期演奏会が終わったら響也に告白しようと思うの」
私が俯いてそう言うと、お母さんは私のとなりに座って私の肩をポンと叩いた。
「そう。頑張って。告白も、ソロも」
私は、その言葉にただただ頷くことしかできなかった。