届かぬ声を、君に。
そして、とうとう定期演奏会の日。
演奏会は昼から始まるのに、私たち出演者は朝から会場で準備をしていた。
今日は、響也が来てくれるらしい。
「舞香ー! ぼーっとしてる暇があったら、こっち手伝って!」
「う、うん」
愛衣に呼ばれ、私は音程を合わせる機械を持たされた。
「重っ」
今まで持ったことがなかったらわかんなかったけど、この機械、すごく重い。
愛衣はさっきまでこれを三つも持って平然とした顔で歩いてた。
愛衣、可愛い顔して結構力持ちなんだなぁ......。
「えーっ!? 優花が休み!?」
本番直前。
控え室で愛衣から聞いたその話に、私は耳を疑った。
優花が休みなんて........。
「なんで優花、休みなんだろう」
「それが、私もよく分かんなくて......」
そんな話、聞いてないよ.........。