届かぬ声を、君に。
「舞香!」
ホールを出て歩いていると、後ろから聞き覚えのない声がした。
振り向くと、そこにいたのは響也だった。
「え.........響也?」
今、“舞香”って言ったよね?
喋れるの?
『響也、今喋ったよね? 喋れるの?』
私が息を切らせている響也に手話でそう話しかけると、響也は首を横に振った。
『聞こえないから発音は分からないけど......少しなら喋れる』
そうだったんだ......。