届かぬ声を、君に。
そして、一週間後。
新しいクラスにも少しなじんできた頃だった。
「響也、じゃあね」
手を振りながらそう言うと、響也も笑って手を振り返してくれた。
それだけのことが嬉しくて、ついつい顔がほころぶ。
「藤澤、顔がにやけてるぞ」
弘輝くんにそう言われて、びっくりして頬を触った。
弘輝くんは、じゃーな、とだけ言って教室を出ていった。
「優花、私たちも行こう」
今日は、優花も部活に行けるらしい。
部活に行こうと、優花と二人で廊下を歩いていた、その時だった。