届かぬ声を、君に。
一日中部屋にこもってたら、夕方になって響也が家に来て、
『なんで、今日来なかったの?』
なにもなかったように、そう言ったんだ。
「何よ…………」
響也がしたこと、全部知ってるんだから。
ここが家の玄関だということも忘れ、私はだんだんイライラしてきた。
『舞香、どうしたの?』
「何なの!? 樹里ちゃんと逢い引きしてたくせに! なんでそんな平気な顔していられるの!?」
あんなこと言いたくなかったのに、次々と口から言葉が飛び出してくる。