薄紅
退屈な授業、ひどく長く感じる昼休み。

いつものように、押し付けられた

掃除を終え、

人目を避けて校門を出た私の足取りは、

朝よりすごく軽い。

理由は、放課後には、1日で一番

気の休まる時間があるから。

電車に乗り、私の家の最寄駅で下車する。


駅前の駐輪場にとめておいた

自転車に乗った。

でも、家には向かわず、逆方向に

自転車を走らせる。

老朽化がすすみ、ひび割れた


コンクリートの道を走る。

道路のくぼみや砕けたコンクリートの

上を通ると、サドルから

振動が伝わってくる。私はその振動が

何となく楽しくて好きだ。
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