守ってダーリン!
安心させるように、優しい声で話してくれる市谷さん。

その柔らかい表情に、私の胸はキュンと鳴る。

「そうですか・・・。よかったです。」

一度瞬きをして市谷さんを見上げると、私を見つめた彼と、重なるように目が合った。

再びドキンと胸を鳴らすと、頬は一瞬にして火照りだす。

そんな、二人だけの甘い雰囲気に、思わず浸ってしまいそうになるけれど。

お見舞いに行ったとき同様、気のせいではなく、周囲の視線は私と彼に注がれていた。

仕事では、『怖い』と評されている市谷さん。

その彼女・・・ではないけれど、そう思われている私に対する彼の態度は、やっぱりみんな、変わらず興味があるらしい。


(相沢さんとかは、親目線なんだろうけど・・・。)


後輩であろう人々は、明らかに『わくわく』や『にまにま』という興味津々な表情だ。

好奇心に満ちた会場内の視線に、どうしても恥ずかしさを感じる私は、そのまま言葉を詰まらせる。

市谷さんも周りの視線に気づいたのか、考え込むような困ったような表情で、言葉を探しながらさっきから額をかいている。


(どうしよう、恥ずかしいけど・・・。)


いまはせっかく、二人で話せる貴重な時間。

やっぱり私は、市谷さんともっとたくさん話がしたい。


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