守ってダーリン!
私の肩をはげますようにポン、とたたくと、お姉ちゃんは手を振ってそのまま店を出て行った。

そんな姉の後ろ姿を、複雑な気持ちで見ていると、後ろから声をかけられた。

「お疲れ様。」

振り向くと、市谷さんが立っていた。

「疲れただろ。送ってく。」

何事もなかったように、市谷さんは淡々と呟く。

そんな彼の落ち着いた態度に、私はカチンときてしまう。

「・・・大丈夫です。」

「え?」

予想外の返答だったのか、市谷さんは驚いたように目を開く。

「もう遅いし。オレが心配だから。」

そう言って、真剣な顔で私のことを見下ろすけれど。

「私は、大丈夫です。

市谷さんは・・・主役なんだし、二次会とかあるんじゃないんですか?」

目線を合わせず、トゲつきの言葉を彼に向かって言う私。

「・・・退院したばっかりだし。若い奴らは、適当に行ったみたいだけど。

オレは、里佳さんを送るつもりだったから、最初から二次会は断ってある。」

ふと周りを見渡すと、いつの間にか店の中は「7 luxe」のスタッフと私たちだけになっていた。

「じゃ、じゃあ、お店の片づけ手伝うので、先に帰っててください。」
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