守ってダーリン!
私が言うと、市谷さんは訝しそうに目を細める。

「・・・里佳さんがそういう事言いだしても、今日は帰ってもらってって、店長さんから言われてる。」

「ええっ!?」

嘘だか本当だかわからない彼の言葉に、私はぐっと押し黙る。

「じゃあ・・・一人で帰ります。」

そう言ってカバンを手に持つと、私はそのまま店を出た。

「え・・・?ちょっと・・・!」

後ろから、市谷さんの声が聞こえた。

それにも全く構わずに、外灯の疎らな夜の街を、私はズンズンと投げやりな気持ちで歩いて行く。

「里佳さん、ちょっと待って。」

市谷さんは、わけがわからないといった様子で、私の後を追ってくる。

苛立った気持ちが落ち着かない私は、顔を前に向けたまま、斜め後ろの彼に言う。

「お姉ちゃんでも、送って行ってあげてください・・・!」

「は?なんで、そこでお姉さんが出てくるんだ。」

市谷さんに腕をつかまれた私は、仕方なくその場に立ち止まる。

「お姉さんなら、さっき彼氏が迎えに来てたみたいだけど。」

「・・・。」

「なんか、怒ってる?」

「・・・怒ってないです。」


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