守ってダーリン!
彼とは視線を合わせずに、私は見え透いた嘘をつく。

「じゃあ、なんでそんな態度とるんだ。

それに、ずっと・・・泣きそうな顔してる。」

つかまれている腕に力がこめられた気がして、私はますます、彼に対する反抗心が芽生えてしまう。

「・・・だって。」

「うん。」

「・・・。」

私は、言おうかどうしようかと迷ったけれど、やっぱり言わずにはいられずに、責めるような目線で市谷さんの顔を見上げた。

「だって・・・市谷さん、私とはほとんど話してくれなくて・・・

岡本さんに私を任せて、すぐにいなくなっちゃったじゃないですか。」

「・・・いや、あれは・・・。」

「それに、私が酔っぱらいにからまれてても、全然気づいてくれないし・・・。」

「えっ・・・!?そうだったのか?何かされた?」

市谷さんは顔色を変え、心配そうに私の顔を覗きこむ。

その表情に、一瞬心が揺れるけれど。

私は変わらず、彼を責めるように言葉を投げる。


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