守ってダーリン!
「・・・別に、そういうんじゃないです。そういうんじゃないけど・・・。

それでも、市谷さんに、助けに来て欲しかったのに。」

「えっ・・・あ、そうか・・・ごめん・・・全然、気がつかなくて・・・。」

焦ったように謝る市谷さんだけど、私はその返答に、ますます怒りが増してくる。

「気づかないですよっ・・・!!だって市谷さん、ずっとお姉ちゃんと・・・デレデレしながら話してたもん!」

「えっ!?」

私の言葉に、市谷さんは切れ長の目を見開いた。

「デレデレしてるなんて・・・生まれて初めて言われたな・・・。」

「でも、してました!!」

そう言って、市谷さんにつかまれていた腕を振りほどくと、私はまた、ズンズンと道路の真ん中を歩き出す。

「え!?いや、ちょっと、待って・・・!」

焦るような市谷さんの声。

私は、自分でも、怒ってるのか泣きたいのかわからない気持ちで、一心不乱に足を動かす。

「里佳さん!」


(もう・・・知らないんだから!)


「ちょっと、待って・・・!」


(市谷さんのことなんて、もう知らない・・・!!)


「ちょっ・・・り・・・里佳!!」

「!」


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