守ってダーリン!
呼び捨てされた名前に、私は思わず立ち止まる。

振り向くと、私の手首をつかんだ市谷さんは、引き寄せるように私の身体を抱きしめた。


(・・・!)


「・・・ごめん。全然、気づかなくて。

お姉さんには・・・別に、デレデレなんてしてないよ。

好きな子のお姉さんだから、悪い印象もたれないようにって・・・かなり、緊張はしてたけど。」

頭上で聞こえる彼の声。

『好きな子』という言葉に、私の耳がピクンと揺れた。

「里佳さんとあんまり話をしなかったのは、それこそ・・・その・・・

里佳さんにデレてるところなんて、後輩とか・・・職場の人たちに、見せたくないと思ったから。」

そこまで言うと、市谷さんは考えるような間を置いて、再び私に言葉をかける。

「・・・もちろん、全部言い訳だけど。オレは・・・自分のことばっかりだな。

里佳さんの気持ちとか、全然考えてあげられなかった。

前にも同じように・・・傷つけるようなことをしたのに。

ほんとに・・・ごめん。」

そう言うと、市谷さんは私を抱きしめる腕にぎゅっと一層力を込める。
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