守ってダーリン!
「・・・泣かないで。」

市谷さんは親指で頬の涙をそっと拭うと、私に優しくキスをする。

冷たくて甘い感触に、胸の震えが止まらない。

「オレが、ずっと中途半端にしてたから。

・・・ごめん。」

大きな手が、私の髪を撫でるように触れていく。

「なんか・・・謝ってばっかで、カッコ悪いな、オレ。」

自嘲するように言う彼に、私は小さく首を振る。

「そんなこと・・・市谷さんは、いつだってかっこいいですよ。」

いつだって。

かっこよくて優しくて。

どんなにすれ違っても、最後は全てを包み込んで、私を安心させてくれる。

火照るような思いで顔を上げた私に、市谷さんは嬉しそうに微笑みかける。

「・・・ありがとう。」

そう言って親指で私の唇をなぞると、そのまま再び口づける。

二度目のキスは、長くて深い、とろけるような甘いキス。

きちんと繋がることが出来た想いを、口づけにして重ね合う。

「里佳。」

キスの余韻を残しながら、愛おしむように、私の名前を呼んでくれる。

それだけで。

どこまでも続くような幸せが、私の心に満ちていく。

「好きだよ。」

囁く彼の声が、夢のように耳に響いた。

そしてもう一度キスをした彼は、私を強く抱きしめた。

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