守ってダーリン!
市谷さんが、牧場の駐車場に車を止めた。

平日だからか季節柄か、お姉ちゃんの言っていた通り、駐車場もガラガラだ。

「ありがとうございました。」

お礼を言ってシートベルトをはずすと、同じくシートベルトをはずした市谷さんに、右の手首をつかまれた。

「里佳。」

名前を呼ばれ、運転席に視線を向けると、市谷さんが私の目の前にぐっと顔を近づける。

「!」

心臓が跳ね上がり、大きく目を見開いた私に、彼は優しく口づける。

ドキドキと、加速を続ける胸の音。

その鼓動を感じながら、私はゆっくりまぶたを閉じた。

何度か軽くキスをした彼は、唇を離すとふっと笑う。

「本当は、今日会った瞬間にしたかったんだけど。

里佳のマンションの前で、お姉さんに見られたら困るだろ?」

そう言うと、市谷さんは私の顔を覗き込む。

至近距離の彼の瞳は、キスと同等に私の胸をドキドキさせる。

「お姉ちゃんは・・・大丈夫です。

お父さんとかだったら、やっぱり・・・怒るかもしれないけど。」

「・・・そう?じゃあ、今度は会った瞬間にしようかな。」

「えっ!?あ、でもやっぱり・・・怒られないけど、恥ずかしいから・・・。」

口ごもると、彼はもう一度私にキスをする。

「冗談だよ。里佳の困った顔、かわいいから。」

そう言って私の髪を撫でると、再び私にキスをした。
< 175 / 330 >

この作品をシェア

pagetop