守ってダーリン!
ロータリーの先に車を止めてきたようで、傘もささずに小走りでやってきた彼は、「こっち」と言って私を駐車場所に案内する。

暗がりに停まっているシルバーのハイブリッドカーは、なんとなく市谷さんの雰囲気に合っていた。

「乗って。」

私に助手席を勧めてから、彼は運転席に乗り込んだ。

席に座った私は、ドキドキしながらシートベルトをカチャリと閉める。


(なんか、緊張する・・・。)


実家が遠方の私は、お父さんの車にすら、ここ最近乗っていない。

男性の車の助手席に座るなんて、いつ以来のことだろう。

しかも、今日会ったばかりのイケメン刑事さん。

ドラマみたい、などと勝手に思っていると、エンジンをかけた市谷さんが無言でアクセルを踏み込んだ。

彼の長い手足が、器用に車を操作する。


(運転、上手だな・・・。)


ちょっとしたブレーキのかけ方や、ハンドルさばきがスムーズで、動作ひとつひとつがいちいちかっこよく見えてしまい、緊張感が増していく。

怒られた気まずさと胸のドキドキで、どうにも落ち着かず、話題を見つけることすらできない。

どうしたものかと考えていると、前を向いたままの市谷さんが、私に話しかけてきた。

「さっきは、悪かったな。」

「え?」


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