守ってダーリン!
17時になると、市谷さんは私のマンションまで車で迎えに来てくれた。

見慣れたシルバーの車のドアを、彼は内側から私を促すように開いてくれる。

「こんばんは。」

「うん。乗って。」

屈んで顔を覗かせた私に、市谷さんはいつも通り優しく微笑む。

だいぶ馴染んできた助手席に座ると、彼は私の髪を撫でて頬にそっとキスをする。

彼の車に乗ったとき、いつの間にか定番になった行為なのだけど、私はいまだに照れてしまう。

「じゃあ、行くよ。」

市谷さんがシフトレバーを入れ替えて、ハンドルを右に傾けた。

私の住む街を出ると、彼の車はすぐに高速道路の流れにのって走り出す。

夕暮れの迫る道は、渋滞もなく、すいすいと順調に目的の場所へと導いてくれる。

高速を下り、にぎやかな街を通り抜けると、次第に海が見えてきた。

左車線に変更して目的地の駐車場に車を止めると、エントランスからホテルの中へと入って行った。

「な、なんか緊張しますね・・・。」

ベルボーイにうやうやしく挨拶をされ、私は無駄に緊張する。



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