守ってダーリン!
「大丈夫だよ。ホテルはいろんなお客さんが来るところだし。

それに、今日のレストランはイタリアンだから、仰々しいマナーもないって、相沢さんが言ってたし。」

安心させようとしてくれる市谷さんの言葉に、私はすぐに反応する。

「相沢さんに教えてもらったんですか?」

「あ・・・いや・・・まあ・・・。相沢さんなら、聞けるから。」

そう言うと、市谷さんは照れたように額をかいた。

デートのお店を人に聞いたことが、どうやら恥ずかしいらしい。

「桐島とかには死んでも聞かないけどな。あいつは、10年くらい絶対話のネタにする。」

「ふふっ。あ・・・そうだ、もしかして、『住みよし』に連れて行ってくれたのも、相沢さんですか?」

「そう。よくわかったな。」

驚いたように私を見る市谷さん。


(やっぱり!ずっと、そんな気がしてたもんね。)


二人で雑談をしながら、エレベーターに乗り込んだ。

ぐんぐんと昇るガラス張りの壁から見える街の夜景が、どんどん小さくなっていく。

二人しか乗せていなかったエレベーターは、直通で私たちを最上階まで連れて行った。

レストランに着くと、入り口で待ち構えていたジェントルマン風のウェイターに、市谷さんが名前を告げる。

「お待ちしておりました。」

「どうぞ」とウェイターに促され、市谷さんに続いて店の中へと入って行く。

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