守ってダーリン!
「おいしかったなー。お腹いっぱい。」

助手席に座った私は、レストランを出てから何度目かの「おいしかった」を思わず口にしてしまう。

市谷さんはそんな私を横目で見ると、「そうだな」と言って優しく笑う。

「また来ようか。他にもよさそうなところがあるか、相沢さんに聞いてみる。」

「わ!ありがとうございます。」


(うれしいな。)


デートのお店を相沢さんに教えてもらったこと、すごく恥ずかしそうにしていたのに。

照れながらも、私のためにまた聞いてくれるのかな、と思うと、嬉しさで胸がいっぱいになる。

「今日は、このまま家に帰るんだったよな?」

車のエンジンをかけた市谷さんは、隣の私に確認をする。

「はい。明日は月曜日の仕事なので・・・。」

「7 luxe」へは、市谷さんの家から行った方が断然距離は近いのだけど。

月曜日の、私がスコーン作り担当の日は、朝から気合いを入れたくて、自宅から行くことに決めている。

「市谷さんの家だと、なんかまったりしちゃって・・・。

やっぱり、自分の家から行った方が、気持ちがシャキッとするんです。」

「普通、逆じゃないのか。自分の家の方が、まったりするだろ。」

市谷さんが笑う。


< 226 / 330 >

この作品をシェア

pagetop