守ってダーリン!
「えっ・・・。」

その言葉を聞いて、身体中の熱が集中したように、一気に頬が火照っていく。


(ずっと・・・?市谷さんは、ずっと、そんな風に思っていてくれたの・・・?)


ドキドキと、胸の鼓動が鳴り響く。

「オレはこれから先、里佳とずっと一緒にいたい。

だから・・・オレと、結婚してくれないか。」

前を向いたまま、彼は言葉を選ぶように私に語り掛けてくる。

ここにきてやっと、私は言葉の意味を理解した。


(これって・・・プロポーズ・・・!?)


まさか、こんな突然に。

前触れもなくこんな言葉をもらえるなんて、私は、思ってもみなかった。

でも。

ずっと・・・ずっと、思っていたのに。

市谷さんからプロポーズされたら、即答でOKの返事をするって、絶対、そう思っていたのに。

驚きとか、嬉しさとか、戸惑いとか。

そこらへんの想いがごちゃまぜになって、私は言葉に詰まってしまった。

「・・・返事。しばらく、待った方がいい?」

ハンドルを握りしめた市谷さんが、どこか落ち着かない口調で私に問いかけてくる。

そんな彼の声にはっとした私は、慌てて返事の言葉を繋ぐ。

「いえっ・・・迷ってるとか、そういうんじゃなくて・・・。

突然で、びっくりして・・・。」

そこまで言って言葉を止めると、ラジオから、私の好きな女性アーティストのラブソングがふいに流れた。

まるで、今の心境を表すようなその曲が、動かない私の唇を後押しする。
< 230 / 330 >

この作品をシェア

pagetop