守ってダーリン!
「ただいまー。」

「おかえり!!」

実家の玄関のドアを開けると、満面の笑みの両親が「待ってました!」と言わんばかりに立っていた。

隣からは、市谷さんがゴクリと息を飲む音が聞こえた。

硬い足取りで一歩前に進み出ると、彼は両親に向かって頭を下げる。

「初めまして。市谷直哉と申しま・・・。」

彼の自己紹介にかぶせるように、お父さんは突然、「おおっ!」と言って喜びの声を高らかにあげる。

「あなたが市谷くんですか!!」

市谷さんの真正面に立つと、突然彼の右手を両手で握り、ブンブンと上下に振りだすお父さん。

「その節は・・・本当に、どうもありがとうございました!!」

「い、いえ・・・。」

興奮状態の父の言葉に、市谷さんは恐縮したような声を出す。

「それにしても。いい男だなー。」

お父さんは、市谷さんの手を握ったまま、まじまじと彼の顔を見つめている。

「あ、いや・・・どうも・・・。」

父のペースに、完全にタジタジの市谷さん。

なんだか不安になってくる。

「もう!お父さん、市谷さん困ってるよ!」

私が言うと、「ああ!」と気がついたように、握りしめていた手を離す。

「ごめんごめん!お父さん、すっかり嬉しくなっちゃって。」

「ねえ。」
< 237 / 330 >

この作品をシェア

pagetop