守ってダーリン!
飛行機の座席に座ると、緊張の糸が切れたのか、私の身体にはどっと疲れが押し寄せてきた。

放心状態で窓の外を眺める私の頭に、市谷さんがポン、と手を置く。

「疲れただろ。」

「・・・そうですね・・・。ずっと、緊張してたから。」

ぼんやりしながら呟く私に、彼は「お疲れ様」と言って優しく笑う。

「でも、安心しました。お父さんもお母さんも優しくて。」

「・・・そうか。それならよかった。里佳に、そう思ってもらえたなら。」

彼が、私の髪を優しく撫でる。

その感触が心地よくて、瞼がトロンと落ちそうになる。

「眠い?」

「・・・そうですね・・・。」

飛行機が、スピードを上げて離陸すると、市谷さんは私の肩を抱き寄せる。

「着くまで、こうやって寝てろ。」

「え・・・でも・・・。」

「いいから。オレが、こうしてたいんだ。」

そう言うと、市谷さんは私をさらに自分の方へと引き寄せる。

「・・・はい。」

彼の肩に、身を預ける。

「おやすみ」と言うと、市谷さんは私のおでこにキスをした。

一歩一歩近づく、私たちの未来。

その足音を聞きながら、私はあたたかくて幸せな眠りに就いた。
< 248 / 330 >

この作品をシェア

pagetop