守ってダーリン!
そのまま、新居に行って引っ越し業者の搬入を見届けた私たちは、再び車に乗り込んだ。

目的の場所は、ここから車で約10分。

「なんか、ドキドキしますね。」

「そうだな。」

私は、大切な紙を挟んだクリアファイルを、カバンの中でそっと触る。

記入済みの、婚姻届け。

私たちはこれから、この届出をするために市役所へ行く。

結婚式はお姉ちゃんたちが終わってから考える予定で、まだまだ先になるけれど、「せめて入籍だけは!」という私のお父さんの強い希望で、先に行うことになったのだ。

「婚姻届け出したら、即メールしろってお父さんに言われてるんです。」

「そうか。」

「今度、二人で旅行に行きたいとか言ってましたよ?」

「・・・それは・・・ありがたいけど・・・。

いまは仕事が忙しいって、言っておいてくれ・・・。」

市谷さんは複雑な表情でそう呟く。

お父さんは、市谷さんが私の旦那様になり、自分の家族になってくれることが、心底嬉しくて仕方がないらしいのだけど。

彼に対する感情は、昔憧れていたヒーローとか、俳優さんに熱狂するかのような勢いで、正直、市谷さんは戸惑っている。



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