守ってダーリン!
(ふふっ、義理のお父さんに好かれすぎるのも、大変だな。)


そんな会話を交わしながら、目的地に辿り着いた私たちは、市役所の重たいガラス戸を開けた。

長椅子で順番を待って婚姻届けを提出すると、受け取った年配の男性が、「おめでとうございます」と私たちに向かって言ってくれた。

硬い表情で、事務的な物言いだったけど。

見ず知らずの人にまでお祝いの言葉をかけられた私は、やっぱりうれしくて、「ありがとうございます!」と、笑顔で返事をしてしまう。


(多分・・・私は浮かれてる。)


係りのおじさんが無表情でも。

次の順番を待っていたおばちゃんに、ぎゅーっと身体を押されても。

それでも私は、思わず笑みがこぼれてしまう。


(だって・・・。)


大好きな彼と、同じ名字になったのだから。
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