守ってダーリン!
「ふう・・・。とりあえず、なんとか生活できる感じにはなりましたね。」

市役所から新居に戻った私たちは、当面必要な物品を、段ボールから取り出した。

いくつかの段ボール箱が空になると、部屋にはなんとなく生活感が漂い始める。

「夕食、出前でもとろうか。外に出るのも、もう面倒だろ。」

「そうですね。うーん・・・じゃあ、せっかくだから、お寿司でもとりましょうか。」

「そうだな。」

ポストにチラシが入っていたお寿司屋さんに電話をかけると、30分ほどですぐに配達してくれた。

新しい机を買うまでは、と彼の家から持ってきておいたローテーブルの上に、お寿司の桶を二つ並べる。

まだカーペットを敷いていないフローリングに直接座って食べるのは、ちょっとヒンヤリするけれど。

いかにも引っ越し当日という雰囲気で、なんだか不思議と楽しかった。

お寿司を食べ終えた私たちは、もうひとがんばりしようと気合を入れ、新しい段ボールの箱を開ける。

夢中で作業をしていたものの、ふと時計を見てみると、23時を過ぎていた。


(わ!もうこんな時間!市谷さんは明日仕事だもんね。

そろそろお風呂の用意しないと。)






< 254 / 330 >

この作品をシェア

pagetop