守ってダーリン!
そして、やるとなれば、会場は私の職場である「7 luxe」が第一候補で、オーナー夫婦である吉人さんと伊佐子さんに相談をすると、すぐに快諾してくれた。

私ひとりでも、ある程度の打ち合わせは済んでいるけれど、最終打ち合わせとなる今日、忙しくて一度も参加出来ていなかった直くんも、時間を作って足を運んでくれたのだ。



OLさんから受けた追加オーダーのコーヒーを淹れようと、キッチンの中へ入って行くと、少しの差で戻ってきた伊佐子さんに「里佳ちゃん」と声をかけられた。

「市谷さんもコーヒーでいいって。それと一緒に持っていってあげて」

「はい」

伊佐子さんに笑顔で頷き、私はもう一杯、コーヒーカップを用意した。

ソーサーにのったマグカップを2客お盆にのせると、こぼさないよう慎重に、客席に向かってそろりと歩いた。

「お待たせしました」

まずは・・・とOLさんのテーブルにコーヒーを届けると、顔見知りになった彼女は「ありがとう」と言って私を見上げてにっこりほほ笑む。

私も自然に笑顔を返すと、お盆に残るコーヒーを届けに、直くんの席へと向かって行った。

窓際で、本を読んでいる彼の姿が目に映る。
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