守ってダーリン!
「ありがとうございました。コーヒー一杯で450円です」

そう言って狩野さんを見上げると、にこっと笑顔を向けられた。

「市谷さんは、夕飯ってこれから?」

500円玉を銀色のトレーにのせながら、狩野さんは私に質問をした。

常連と言っても、狩野さんとは一般的な「店員と客」といった会話以外、ほとんどしたことがなかった私は、一瞬きょとんとしながらも、「はい」と素直に頷いた。

「じゃあ・・・一緒に夕飯どうですか。僕もコーヒーしか飲んでないので」

「えっ!?」

突然の申し出に、私は驚いて固まってしまった。

「・・・どうかな?」

狩野さんは、返事をしないままの私の顔を覗きこむ。

「あ、いえ、私は・・・」

断りの言葉を告げようと、私が話をはじめたとき。

「里佳」

狩野さんの後ろから、ズカズカと歩いてきた直くんが、苛立った顔で私を呼んだ。

「コーヒー、もう一杯いれて」

「えっ・・・!?」


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