守ってダーリン!
お湯が沸くのを待っていると、キッチンに入ってきた伊佐子さんに、にこにこ笑顔を向けられた。

「いいなあー。里佳ちゃん、すっごく愛されてるでしょう」

突然の伊佐子さんの声かけに、私は「え?」と聞き返す。

「さっき、里佳ちゃんが狩野さんに誘われてるとき、市谷さん、すぐさま席を立ってたわよ。

狩野さんがずっと里佳ちゃんのこと気にしてたの、気づいてたみたい。さすが刑事だね!」

どうやら伊佐子さんは、さきほどの私たちのやりとりを見ていたらしい。


(う・・・見られてたのか・・・)


少し恥ずかしくなった私をよそに、伊佐子さんはうっとりしたような面持ちで、両手を胸の前で組む。

「いいなあ。市谷さんにヤキモチ焼いてもらえるなんて。

うちなんて、もうとっくにそんなのないし」

「そうなんですか?」

「まあ、結婚して10年以上経つしねえ。

それに、店長はのほほんとしてるから、目の前で私がいい男に口説かれてたとしても、多分気づかないと思う」

「えーっ!?いやいや、それはさすがに・・・」

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