守ってダーリン!
『六月の花嫁は、幸せになれる』。

元々は、ヨーロッパの言い伝えであるジューンブライド。

日本では、ちょうど梅雨の時期にあたるこの季節。

結婚式当日の今日、心配していた空模様は、澄み切ったキレイな青空が広がる気持ちのいい晴天だった。


(よかった。いい日になりそうだな)


打ち合わせで何度も何度も通い続けた、家から続くホテルまでの道。

彼の車から臨む景色が、いつもより眩しく、キラキラと輝いているように見えるのは、多分、私が浮かれているせいだろう。


ホテルに到着すると、私たちは、ウェディングスタッフの手によって、真っ白な衣装に身を包んだ「新郎新婦」へとあれよあれよと変身をした。

直くんのタキシード姿は、試着の時よりやっぱり格段にかっこよくって、私はぽーっと見とれてしまう。

「かっこいい!」

と思わず口にした私に、直くんは「恥ずかしいから」と照れたように怒るけど。

「里佳も、いままでで一番キレイだ」

他のスタッフには聞こえないように、耳元でそっと囁やかれて、私は心が満たされた。

見上げれば、彼の優しい眼差しと、私の視線がぶつかった。

私はとても幸せな気持ちで、はにかんだ笑顔を彼に返した。





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