守ってダーリン!
それから2日後の月曜日。

出勤した私は、いつもより少しだけ多めのスコーンを焼いていた。

そのわけは。

今日、龍平くんが市谷さんを連れて来てくれるから。

この近所に用事があるそうで、そのついでに立ち寄ってくれるとのことだった。

ギリギリまで「本当に手作りのものでいいのか」と悩み続けた私は、メインにメンズもののタオルハンカチを用意して、おまけ程度でスコーンをつけることにした。

ハンカチは残ってしまうものだけれど、これなら使ってくれるかもしれないし、使わなくても雑巾にだって変身するし!と自分で自分を納得させた。

焼きあがったスコーンを取り出していると、玲奈が声を掛けてきた。

「あ、そうそう、今日ここに立ち寄ってもらう理由、市谷さんに言ってないんだって。」

「えっ!?」

まさかの発言。

「市谷さんの性格だと、里佳がお礼したいから、なんて言ったら、遠慮して絶対に来ないからって。」

「それって・・・大丈夫かな・・・。」

「大丈夫じゃない?」


(根拠なさそう・・・。)


そんなことでわざわざ連れてきたのか!なんて、怒りだしたりしないかと、私は一気に不安になる。

とはいえ、いまさらどうにも出来ないし、来てくれるからにはきちんとお礼をしなくちゃと、私は焼きあがったスコーンを、丁寧にラッピングしておいた。
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