守ってダーリン!
意を決して一歩前に踏み出すものの、市谷さんと目が合うと、途端に胸がドキンと鳴って、決意がふわふわと飛んでいく。

「里佳っ。」

背中を玲奈につつかれて、私ははっと息を飲む。


(よ、よしっ!)


「あの、市谷さん!この前は、どうもありがとうございました。」

勇気を振り絞ってそう伝えると、彼は驚いたように目を見開いてから、すぐにいつもの無表情に戻っていく。

「いや・・・別に。」

そっけなく答える様子に、私の心が縮こまる。


(やっぱり・・・わざわざお礼するなんて、逆に迷惑だったかな。)


そう思ったものの、ここまできたら、お礼の物も渡すしかない。

「それで、これ・・・大したものじゃないんですけど。お礼に・・・。」

「え?」

おずおずと紙袋を差し出すと、市谷さんは明らかに驚きの表情を浮かべ、そのまま動きを止めてしまった。


(・・・固まってる・・・。)


私はもちろん、龍平くんと玲奈も、そんな市谷さんの姿をじーっと見つめる。

「・・・。」

フリーズ状態の市谷さんを見かねた龍平くんが、市谷さんにこそっと耳打ち。
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