守ってダーリン!
翌日、いつもより早起きをした私は、セミロングの髪をアップにして、「よし!」と鏡に向かって気合いを入れた。

看病に行くのだから、ヘンにおしゃれに気を使わない方がいいかな、と、メイクはナチュラルにして、黒のニットにデニムを合わせたシンプルな服装を選んだ。

龍平くんから連絡がいっているはずだから、市谷さんは私が行くことは承知の上だろうけど、それでもやはり、実際に行ったときの反応が気になって仕方ない。

「ありがとう」なんて言って歓迎してくれるのか・・・それともやっぱり、龍平くんに押し切られた感じで無理矢理感が漂うのか・・・。


(・・・後者だろうな。)


そう思うものの、引き受けたからにはちゃんとお伺いして料理もしないと。

龍平くんからは、「昼前に行ってあげて」というメールを事前にもらっている。

そのため、昼分のおかゆと数日分の具だくさんスープを作ろうと決めた私は、料理の材料をスーパーで買った後、ドラッグストアに立ち寄って、風邪薬と栄養ドリンクを数本購入し、市谷さんの家に向かった。


(ふう・・・重かった。ここだよね。)


飴色の建物のエントランス。

両手に提げたレジ袋をレンガ畳の上に置くと、龍平くんからのメールを開き、もう一度場所とマンション名を確認する。


(うん、ここで合ってる。)





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