守ってダーリン!
市谷さんは、私が両手に提げているレジ袋に視線を向けると、困ったような怒ったような表情でため息をつく。

「・・・何考えてるんだ、アイツ・・・。」

そんな市谷さんの様子に、私も完全に動揺する。


(まさか龍平くん、私が行くって言ってなかったの!?)


玄関先で向き合ったまま、私たちは沈黙する。


(これは・・・いったいどうすれば!?)


長い沈黙の後、もう一度ため息をついた市谷さんが口火を切った。

「キミを家にあげるわけにはいかないし、申し訳ないけど帰ってくれないか。

桐島には、後で厳しく言っておくから。」

「えっ!?」


(この状況で帰れって・・・。)


両手の重みがズシリと増した。


(私のここまでの努力が・・・!)


呆然とする私。

しかし、ここで無理矢理家に入って料理をする間柄ではないわけで・・・。

「・・・わかりました。

じゃあ、せめて薬と、栄養ドリンク買ってきたので・・・。」

ドラッグストアの袋だけ渡そうとした瞬間、市谷さんの身体がぐらりと揺れた。
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